グランドピアノとアップライトの良いとこ取り:グランフィール導入!

皆さん、グランフィールピアノってご存じでしょうか?
2010年に日本で発明され、世界各国でも特許を取得されている、新しいピアノ打鍵システムです。
一言で表現すると、グランドピアノの機能を備えたアップライトピアノです。

従来のアップライトピアノに取り付けることで、
「アップライトピアノをグランドピアノのタッチで弾けるようになる!」
という 画期的な発明なんです。
最初は 縦型のグランドピアノの登場⁉と思ったのですが、果たしてどんな音がでるのでしょうか・・

コンクールや発表会はグランドピアノで弾くのに、普段の練習は電子ピアノやアップライトピアノで・・という方、たくさんいらっしゃるのではないかと思います。

練習(アップライトピアノ)ではうまくできたのに、グランドピアノでは全然表現できない・・(泣)😭
ということは、私もイヤというほど経験してきました。

せっかくの練習時間を もっと有意義にしたいと思うのは、当然のことでしょう。
この問題を 現実的に解決してくれるのが、グランフィールです。

アップライトピアノで練習をしている方、導入をご検討される際のご参考になれば幸いです🥰

グランフィールって何?

2010年に 鹿児島県の藤井幸光さんが発明された、新しいピアノ打鍵システムです。
従来のアップライトピアノにグランドピアノのハンマーアクション機能を組み込むことで、アップライトピアノを グランドピアノのタッチで弾くことが可能になります。
結果として、素早い連打や 豊かな表現が可能になりました。

↓↓ グランドピアノ、グランフィール、アップライトピアノ、それぞれの長所 / 短所をまとめたものです。
(最近では 電子ピアノという選択肢もありますが、論点が少しずれるので、 ここでは控えたいと思います。)

長所(メリット)短所(デメリット)
グランドピアノ・弦が長く、倍音が大きい
・強弱も幅広く表現することが可能
・豊かな表現が可能
・素早い連打が可能
・重量が大きい
・スペースがとられる
・音が大きく、防音対策が必要
・費用がかかる
グランフィール・グランドピアノのタッチが可能
・コンパクトで場所を取らない
・取り付けは約20万円~
・素早い連打が可能
・グランドピアノと比較して音量は乏しい
・グランドピアノには少し劣るが、アップライトよりも豊かな表現が可能
アップライトピアノ・コンパクトで場所をとらない
・費用が安い
・鍵盤のタッチがスムーズ(沈む感覚がない)
・音量や倍音が少なく、表現の幅が少ない
・簡易な打鍵システムなので、ダイレクトに音が出てしまう(加えて、音抜けもしやすい)
・素早い連打ができない
グランドピアノ・グランフィール・アップライトピアノのメリット・デメリット

グランドピアノを置きたくても、スペースや音量、費用面など の問題があります。
この問題を解決してくれるのが、アップライトピアノの長所でもあります。
しかし、アップライトピアノの音は あまり深みがなく、連打ができないなどの問題点があります。
ここを現実的に補ってくれるのが、グランフィールです。
まさに、それぞれのメリット・デメリットを補いあう=いいとこ取りのピアノだと思います!🥰

グランフィールの取り付けには専用部品や整備費などがかかります。
従来のアップライトピアノに取り付け費用として、約20万円~になるようです。
これを高いとするか 安いとするか 悩むところですね…😥

音量に関しても、環境的な問題もありますよね。
少し響きが増すので 増幅して聞こえますが、構造はアップライトピアノのままなので、音量は大きく変わりません。
また、ピアノに消音機能を付けている方も多いと思います。
私も消音機能を付けていましたが 、消音機能も 維持したまま 取り付けて頂けました。
音量の問題については、大きな問題にはならないと思います。

そもそも、グランドピアノとアップライトピアノには、構造上の大きな違いがあります。
これを知っておくことで、もう少し明確な判断ができるかもしれません。
果たして、グランフィールを取り付ける価値があるのかどうか・・もう少し詳しくみていきましょう!😄

専門的な用語が出てきますが、できるだけわかりやすくご説明したいと思います。
少しだけ 辛抱強くお付き合いください!😖💦

グランドピアノとアップライトピアノの打鍵システムの違い

グランドピアノとアップライトピアノは、形が違うだけではなく、打鍵システムに 大きな違いがあります。

図に示すように、グランドピアノは、アップライトピアノよりも構造が複雑になっています。
ハンマーが弦を打つ前に レペティションレバーというジャッキシステムがあり、間接的に運動を伝えることが可能になります。そのため、鍵盤が素早く元に戻ることができます。

それに対して、アップライトピアノは ハンマーが直接弦を打つため、鍵盤が完全に戻るまで 次の音が鳴らせない構造になっています。詳しくは解説もご覧ください。


《グランドピアノの打鍵システム》
手や腕の重みがそのままテコの原理でアクションに伝わり、ハンマーを上方向に跳ね上げます。
力の方向が同一方向に伝わるため、アップライトピアノに比べ打弦エネルギーが2〜3倍となり、ダイナミックレンジ(音の強弱)はより広く取れます。
ハンマーが自重で戻るため完全に戻らなくても次の打弦ができるため、素早い連打やトリルが可能です。

また、アクション機構は、調整箇所が多いので繊細な調整や整音が可能です。

《アップライトピアノの打鍵システム》
押鍵された鍵盤とハンマーは同一方向でないため、力と時間のロスが生じます。ダイナミックレンジの幅もグランドピアノに比べて狭くなります。
連打性能は、ハンマーを戻すのにバネの力を借りるため、素早い連打をするには限界があります。
また、アクション機構は、調整箇所が少ないので、調整や整音の幅はグランドピアノよりも狭くなります。


グランフィールの特徴・性能

特徴・性能グランドピアノグランフィールアップライトピアノ
❶機能性鍵盤を3分の1戻すと次の音が出せる鍵盤を3分の1戻すと次の音が出せる鍵盤を完全に戻さないと次の音が出せない
❷連打性1秒間に14回連打可能1秒間に13回連打可能1秒間に6~7回連打可能
❸初動(鍵盤の重さ)52g52g52g
❹操作性
(レットオフ:弦とハンマーの接近性)
150g150g97g
(やや狭いため、音抜けがしやすい)
❺音質(グランフィール取付前後で比較)データなし6~8倍音まで可能5倍音まで可能
https://fujiipianoservice.jp/granfeel/より引用


グランドピアノとグランフィールの機能性・連打性は、ほぼ同等といえるでしょう。

レットオフについて、少し解説を加えておきます。
操作性(レットオフ)とは、ハンマーと弦が一番接近した距離のことです。
これは、近すぎても遠すぎても 音色や響きに影響します。
特に、ゆっくり鍵盤を押したときに 十分に力が伝わる距離がないと 音抜けしてしまいます。
アップライトピアノでは、特にピアニッシモの表現が難しいということを意味しています。

グランフィールの導入により倍音も拡大し、より豊かな発音ができることがデータ上、示されています。

導入して感じたこと

  • グランドピアノの沈むタッチが脱力を助けてくれる
  • 連打練習が可能に(容易に)なった!
  • 脱力がスムーズにできるから、音がよく響く!
  • 響きが増すので、ハーモニーの聴き分けがスムーズ!
  • ペダルポイント(踏みかえのタイミング)が分かりやすい
  • 表現の幅が少し拡大した

まさにグランドピアノとアップライトピアノの良いとこ取りだな!と感じました。
居住スペースを圧迫することなく、グランドピアノのタッチが練習できるのは 貴重なことです。

デメリットも少し挙げてみたいと思います。

  • 鍵盤がアップライトより少し重く感じる
  • アップライトピアノの音色に少し奥行きが出たような響き・・グランドピアノの深い表現まではできない

比較表を見ても分かるように、本来、鍵盤の重さは3種とも全く同じです。
しかし、アップライトピアノの鍵盤が軽く感じるのは抵抗感がないためだと考えられます。
私は、アップライトピアノの軽いタッチに 物足りなさを感じていたため、デメリットには感じませんが、人によっては好みが分かれるところだと思います。これは実際、感覚の問題だと言えます。

総合的に考えると、音量や響きの豊かさは グランドピアノには適いませんが、そこまで求めるのなら グランドピアノを選ぶべきでしょう。
現実的な改善策の一つとして、グランフィールピアノの導入は 有効だと感じました。

比較動画を参考までに作成しました。
各ピアノの音色の違い、連打のしやすさを表現してみました☆
概要欄に各ピアノの特徴や弾いたときの感想も記載しているので、そちらもご覧ください。
何かご参考になりましたら幸いです🥰🎶

まとめ

さすがに グランドピアノの響きを再現することは 不可能です。
これは もう構造上の問題で、響きや音量では やはりグランドピアノには適いません。

開発者の藤井さんも、「理想はグランドピアノで弾くこと」だと仰っています。
しかし、グランドピアノの「スペース、お金、防音問題」を解決してくれるのが、アップライトピアノです。
現実的な解決策として、両方の長所・短所を補い合ってくれるのが、グランフィールです

この「現実的」というところがキーポイントだと思います。
グランフィール=グランドピアノ(風)ということですね。
それって偽物!という方もいるかもしれませんが、やはりグランドピアノにも問題はあるのです。
現実的な落としどころとして、本当に素晴らしいと私は思いました。
本当に感謝ですね!!ありがとうございます🙏😭


美味しいものを味わうと 舌が肥えていくように、耳も肥えていくと 材料や道具(ピアノ)にもこだわりが出てくるのは自然なことでしょう。
贅沢と言われても、こればかりは 分かる人にしか分からないですよね・・😥

自分にとって必要かどうかは、やはり感覚を磨きながら 体験を通じて判断するしかないと思います。
最初から道具にこだわる必要はないと思いますが、やはり実力がつくと どうしても物足りなさは出てきてしまいます。
成長の証とも言えるかもしれません。


現在、アップライトピアノで練習していて 伸び悩んでいる方、グランドピアノを設置したいけど 現実的に難しい方、選択肢の一つとして 一度ご自身でも体験されることをお勧めします!

選択肢がもう一つ増えて、贅沢なことに 悩みの種が 増えてしまいましたね・・😥
それぞれのメリット&デメリットを十分に理解して 上手に使い分けることで、有意義な練習につなげていくことが大切だと思います。
宝の持ちぐされにならないように・・・道具を活かすテクニックも 向上させていきたいと思いました。

皆さんの日々のピアノ練習が 楽しく、有意義なものになりますように・・✨✨
楽しいピアノライフにつながれば 大変嬉しく思います。
最後までお付き合い頂きましてありがとうございました!😄